コラム
【総合内科専門医監修】健康診断で「脂質異常」を指摘されたら
はじめに
健康診断で「脂質が高めですね」「再検査をしてください」と言われたとき、驚いたり不安になったりする方も多いでしょう。脂質異常は、自覚症状が乏しい一方で、長い時間をかけて血管に影響が積み重なり、将来のリスクにつながることがあります。
「脂質異常」って何が問題?
脂質(コレステロールや中性脂肪など)は、体の働きに欠かせない成分でもあります。とはいえ、量やバランスが崩れると、血管の内側に負担がかかりやすくなります。とくに注目したいのが、動脈硬化が進むリスクが高まる点です。
脂質異常は、検査結果としては「一度の数値」でわかりますが、背景にはさまざまな要因が関わります。
たとえば、
〇食習慣(脂質・糖質の多さ)
〇体重や運動不足
〇睡眠やストレス
〇飲酒量
〇加齢や体質(遺伝的な要素)
などが絡むことがあります。つまり「自分には関係ない」と決めつけず、原因の手がかりを探す姿勢が大切です。
代表的な検査項目(数字の見方)
脂質は複数の指標で評価されます。よく見かける項目は次の通りです。
総コレステロール
脂質全体の目安です。高いとリスクの手がかりになります。
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)
血管を通してコレステロールを全身に運びます。
数値が高いほど血管にコレステロールが蓄積するため注意が必要です。
HDLコレステロール(善玉コレステロール)
血管壁の不要なコレステロールを回収します。
数値が低いと回収が出来ず、動脈硬化が進行しやすくなるため注意が必要です。
中性脂肪(TG)
エネルギーの貯蔵に関わります。
高いと血管壁に脂肪が沈着したり、メタボリックシンドロームの要因となります。
※基準値は健診機関や測定条件で多少異なる場合があります。
なぜ放置がよくないの?
脂質異常は分かりやすい症状が出にくいことが多いです。そのため「平気だろう」と判断しやすい一方で、血管への影響は見えない場所で進行していきます。
そして動脈硬化が進むと、将来的に以下のリスクが高まります。
〇心臓の血管のトラブル(狭心症や心筋梗塞など)
〇脳の血管のトラブル(脳梗塞など)
その他の生活習慣病に関してはこちら(生活習慣病ページ)からご確認ください。
特に注意したいパターン
脂質異常は原因や性質がさまざまです。たとえば次のようなケースは、より丁寧に方針を考えることが重要です。
家族性の可能性
同じように脂質が高い家族がいる、あるいは若い時期からLDLが高いなどの場合、体質(遺伝的な要因)が関係している可能性があります。生活改善だけでは十分でないケースもあるため、早めの方針決めが重要です。
中性脂肪が高い状態が続く場合
中性脂肪が高い状態が続くと、肝臓などに脂肪がたまりやすくなることがあります。また、膵臓に影響が出る可能性もゼロではありません。数値が高い場合は、生活面の見直しとともに、検査結果の解釈をしっかり確認することが大切です。
再検査と言われたら、まず何をする?
「再検査」と書かれている場合は、基本的に放置せず、確認の段取りをつけるのが第一歩です。脂質は食事内容だけでなく、体調や採血のタイミングなどの影響も受けるためです。
再検査までにできる準備
〇前回の結果表を手元に用意する
〇いつ・どの項目が高かったかを整理する(LDL?TG?など)
〇忘れずに採血の条件(空腹の有無など)を確認する
〇直近の食生活の変化(暴飲暴食、極端なダイエット、飲酒)を思い出す
この「情報の整理」は、次の対策を決めるためにとても役立ちます。
今日からできる“改善の方向性”
脂質異常の改善は、短期間で完璧を目指すよりも、続けられる工夫を積み重ねるほうが現実的です。
食事面:ポイントは「量と組み合わせ」
〇揚げ物や加工食品をゼロにするのではなく、まずは頻度を減らす
〇甘い飲み物や間食が多い場合は回数を減らす
〇主食を控えすぎるより、「脂質の多いおかず」や「甘いもの」と一緒になりすぎないように意識する
運動面:強度より「習慣化」
〇いきなり激しい運動は不要
〇まずは散歩や軽い運動を週に数回から始める
〇翌日に負担が残りすぎない範囲で継続する
生活面:睡眠と飲酒も影響しうる
〇睡眠が乱れると食欲や生活リズムにも影響が出やすいです
〇飲酒がある場合は、脂質(特に中性脂肪)に影響しやすいことがあります
まとめ:脂質異常は遠い将来の話ではない
健康診断で脂質異常を指摘されたら、それは「今の体」だけでなく、将来の血管の状態を見据えるサインです。まずは再検査の準備として結果を整理し、そのうえで生活面の調整を続けられる形にしていくことが大切です。
その他の健診異常に関してはこちら(健康診断で異常を指摘されたら読むページ)からご確認ください。
岡山市北区の表町診療所では、健康診断後のサポートに力を入れています。
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